ダメ人間かつ最高の物書き、坂口安吾先生の著書”暗い青春・魔の退屈”を読んだ。
時代に巻き込まれないことで、本質を見据えようとした安吾先生の自伝。
ストーリーはさておき(惚れた女と結ばれない、惚れてないが楽な女と一緒にいる等)、
安吾先生の何十年にも及ぶ暮らしぶりを知ることができる。
時代の流れへの抵抗は、”何もしない”という形であらわれる。
強い!ぶれていない!かっこいいぞ、安吾先生!
と同時に、ダメ人間的な香りがプンプン漂う! ま、何もしていないからね。

以下、安吾先生の強烈な叫びを引用します。
”空襲下の日本はすでに文明開化の紐はズタズタに断ち切られて応仁の乱の
焦土とさして変わらぬ様相になっている。今に至る千年間の文化の最も素朴な
原形へたった数年で戻ったのである。だから私は敗戦後の日本がむしろ混乱しうる
最大の混乱に落ちて、精神の最大のデガダンスが来た方がいいと思った。
中途半端な混乱は中途半端なモラルしか生み出せない。”